滋賀倶楽部-滋賀県の見所・イベント・観光スポット情報-
*
滋賀倶楽部-滋賀県の見所・イベント・観光スポット情報- > 滋賀の話題 > 大量発生ビワコムシ、実は人畜無害の“いい虫”だった 琵琶湖の湖底を浄化

大量発生ビワコムシ、実は人畜無害の“いい虫”だった 琵琶湖の湖底を浄化

(公開: 2017年05月19日)

今年は大量発生しているビワコムシ!琵琶湖の湖底を浄化してくれる虫でした。

 

びわ湖虫、ビワコムシ

 

 滋賀県のシンボル・琵琶湖で、気候が和らぐこの季節に大量に発生する虫をご存じだろうか。淡褐色で体長1センチ程度の通称「ビワコムシ」だ。ときには住宅の壁や車などにびっしりと張り付く。今年は特に大量発生し、自治体には住民から「気持ち悪い」との苦情も。ただ、迷惑虫の実態は、環境保全に役立つ“いい虫”でもあった。(杉森尚貴)

 「ビワコムシが多いな」。4月下旬、大津市南部の琵琶湖岸。橋や柵などに張り付いた大量のビワコムシに、通行人たちが不快そうな表情をみせた。1歳の息子と散歩中だった大津市の主婦、田中理沙さん(29)は、ビワコムシを避けながら歩いていた。湖岸から約1キロ離れたマンションに住んでいるが、「ビワコムシは4階の室内まで入ってくる。駐車場にもたくさんいて車に大量に付くので、夫が業務用殺虫剤を使って撃退している」と話す。

 湖岸沿いにテラス席が並ぶレストラン「なぎさWARMS」(同市打出浜)のスタッフも困った様子だ。「季節の風物詩。ある程度は仕方ないが、今年は特に多く、サイズも大きい気がする」と女性スタッフ。松下博文店長(42)は「自然食が売りの店なので殺虫剤は使いたくない。店内に入らないように従業員全員で細心の注意を払っている」とこぼした。

 同市衛生課には「駆除しないのか」「気持ち悪い」といった問い合わせや苦情が3月から寄せられている。担当職員は「たまたま今年は多いだけで、人に危害を加えるわけではない。県や市による大々的な駆除の予定はない」と語る。

 水底に暮らす生物(底生動物)を研究する滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの井上栄壮(えいそう)主任研究員(44)によると、ビワコムシとは「オオユスリカというユスリカに属する昆虫の一種」だ。蚊に似ていても人を刺すことはない。人体に具体的な害を与えないものの、外見や動きが心理的に気分を害する「迷惑害虫」に分類される。

ビワコムシ対策として、井上氏は「光に集まる習性なので、夜間に家の光を外に漏らさないようにすることぐらいしかない。基本的にはどうしようもない」と話す。具体的な発生数は不明ながら、今年は感覚的に例年より多いようだ。幼虫は湖底の泥の中で植物プランクトンなどの有機物を食べて成長する。深い水底にはすめず、水深が比較的浅い琵琶湖南部での発生が目立つ。

 大量発生の原因について、井上氏は「鍵は餌となる植物プランクトンの増加にある」と分析する。琵琶湖では水草が多いと植物プランクトンが減る。昨年は原因不明だが水草が少なく、植物プランクトンが増えた。外来種の植物プランクトン「ミクラステリアスハーディ」の増加も、ビワコムシにとって好環境になっているという。

ビワコムシと呼ばれるようになったのは、1970年代の高度経済成長期のころからだとされる。滋賀は京阪神のベッドタウンとして住民が増加。湖に流入する生活排水などで有機物が増え、ユスリカが多くなった。他県から来た人が琵琶湖特有の現象と考えて呼び始めたという説がある。

 大津市のホームセンター「アヤハディオ大津店」では、ビワコムシの大量発生を知らせるチラシを殺虫剤のコーナーに掲げている。今春は殺虫剤の問い合わせが多く、関連商品は昨年の1・5倍ほどの売れ行き。県内のグループ店では琵琶湖南部に立地する店のみ殺虫剤の発注が増加しており、南部での発生が多いことを裏付けているようだ。

 迷惑害虫とされるビワコムシだが、水生昆虫の研究者によると、幼虫が湖底の泥の中の有機物を食べることで「湖底の浄化に役立っている」。湖に流れ込む生活排水による有機物も食べているとみられる。さらに成虫は鳥やクモの餌になり、琵琶湖周辺の生態系の維持にも一役買っている。人畜無害で環境保全にも貢献しているビワコムシ。外見だけで一方的に嫌わず、“共生”を図る発想も必要なのかもしれない。

産経新聞 2017/5/18(木) 14:31配信

Yahooニュースより引用

 

記事はお役にたてましたか?

記事にご興味をもっていただけましたら、
以下のソーシャルボタンで共有していただくと嬉しいです^^

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓